第67回日本神経病理学会総会学術研究会
会長 柿田 明美
一般社団法人 日本神経病理学会 理事長
新潟大学脳研究所 病理学分野 教授
第67回日本神経病理学会総会学術研究会を、来年 2026(令和8)年6月25日(木)から6月27日(土)までの三日間、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで開催させて頂きます。伝統ある本学術研究会の会長を務めさせて頂きますことをたいへん光栄に存じます。皆様にお会いできますことを楽しみにしております。
本学術研究会が熱気にあふれながらも穏やかな学術交流の場として、皆様が楽しみ、情報共有して頂ける機会となりますことを心から願っております。特に次世代を担う若手の皆様が積極的に発表し議論できるよう、準備を進めて参ります。
私が神経病理学会に初めて参加したのは大学卒業後にまもなく開催された第30回大会(1989年 東京:朝長会長)でした。以来、30有余年にわたり参加し演題発表や講演をして参りました。この学会に育てて頂いたと感謝しております。この間ずっと、剖検例や手術・生検例を対象に病理組織学的診断を行なって参りました。お一人おひとりの病理像には違いがあり、駆け出しの頃から、恐れ慄きながら顕微鏡を覗き、またやがてそこに自分なりの理解が得られることを楽しんできたように思います。その気持ちは還暦を過ぎた今も少しも変わらないことに、自分でもいささか驚いています。患者さんが標本を通して教えて下さる病気の本当のすがたは、実に深い:そういうことなのでしょう。神経病理学会は、演題を持ち寄り、学会参加者が思いおもいに顕微鏡で標本を観察し、症例情報を共有できる:非常にユニークな特徴ある学会です。第67回学術研究会でも、是非、症例を持ち寄って頂き、それぞれの経験知を謙虚に語りつつ、また一歩、病態理解を進めていきませんか?典型例などというものはありません。皆様が経験された症例をご発表下さいますことを期待しております。
一方で私のささやかな研究活動の経験から致しますと、神経病理学の知見は、神経科学研究・橋渡し研究・創薬研究などの広い研究分野にとって実に重要な意味をもつ情報であることも実感致します。本学会員が行なってこられたきめ細かな標本観察のスキルと、脳標本の丁寧な取扱いや保存方法は、最新の解析技術の進歩と相まって、脳病態に関する新たな理解が進んでいる実感があります。第67回学術研究会では、これらの研究分野のエキスパートや新進気鋭の研究者による迫力ある示唆に富む講演を予定しています。また、Neuromuscular Conference を本格的に実施します。Diagnostic Slide Sessionや、脳腫瘍・精神疾患研究・ブレインバンク・トランスクリプトームに関する各シンポジウムの他、公募シンポジウム、一般口演・ポスターなどのプログラムを予定しています。皆様のご研究の成果に触れられることを楽しみにしております。
病態研究を行なっている基礎研究者や企業の研究者の皆様にとりましても、ひと脳疾患標本をご自身で検鏡することができ、また担当医と議論できる機会でもあります。ご参加を期待しています。様々な専門分野の方々が議論され、新たな発想や学術交流が生まれますことを願っています。
皆様、お忙しい状況であることを理解しております。楽しかった!有意義であった!と思って頂けるよう、魅力あるプログラムを予定しています。順次、HPで公開して参ります。
どうぞ新潟で開催いたします 第67回日本神経病理学会総会学術研究会 にご参加下さいます様、ご案内申し上げます。
2025年9月
© 2025 The 67th Annual Meeting of the Japanese Society of Neuropathology